わやにすな

トサの103的こころ
メカニカル・テナー逝去
Excite エキサイト : 社会ニュース

 これだけ多種多様な価値観が認められる現代。とりわけ音楽では聴く人誰もが「これはいい!」と言うものは皆無といっていいだろう。拘りファンの多いジャズなら尚更だ。

 「無機質なサウンド。ただ音数だけ多いだけじゃないか。プレイに心が感じられない。」
 彼のことをこう言って毛嫌いする人は多いし、そんな批評はいやというほど目にも耳にもした。

 けれども、あの圧倒するフレーズ・独特のサウンドが好きで好きで堪らないというファンも数多いし、ジャズ・フュージョン界に大きな影響を与えたのは紛れもない事実だ。

 僕もサックスを吹く者のはしくれとして、彼を大尊敬する者の1人だ。
 数年前、富士通の全国ツアーで隣町へやってきた。僕にとって最初で最後になった彼の生演奏は凄まじかった。しっとり聴かせる所では枯れたテナーサウンドに酔いしれた。観客の期待を裏切らぬ超絶高速フレーズに引き込まれた。要所要所でキメるハーモニクスに鳥肌が立った。
 改めて我々凡人には遠く及ばない途轍もない音楽センスに裏付けられた高度なテクニックを見せ付けられ、ただただひれ伏すばかりと同時に、最高峰のテナー奏者がこんな片田舎の小さなホールでも我々の為に全力でプレイしてくれたということに感動した。

 「プロだからいつでも全力を出すのは当然」と言われればそれまでだが、人間いくらベストを尽くそうと思ってはいても、ちょっとしたコンディションの違いで全力投球できないことが多々ある。我々ですらそうなのに、すべてが高度な次元でバランスし成り立っている彼の場合など想像もつかない。
 当日、バンドメンバーのドラム奏者が急病の為代役に入ったのは、見ている我々までもが「おいおい!」と心配になるほどの、お世辞にも上手いとは言えない若い人でした。
 長期ツアーの上に、バンドの要がそんな状態。神経質と言われる彼がそんな状況で本当にステージに立つのか、彼が舞台に現れるまでおそらくほとんどの観客が不安だったのではないだろうか。そんな中、ファンが雑誌やジャケットで眺め憧れ続けたシルバーネックにガーデラのマウスピースをセットした名器アメリカンセルマーMarkVIをひょいと下げて登場した彼。
 スタンドに置いたテナーのネックをむんずと掴んで楽器を引っ張り上げたときにはこちらが驚いた。いくら彼に憧れて真似する人でも、100万円近くするオールドサックスにこんな扱いをする人はいないだろう。いやはやとんでもない御仁だ。
 
 そんな彼が血液癌で倒れたのは昨年。芸能人の白血病報道はたくさんあるし、僕の親戚や周りの人でも何人もが病と闘うも、そのほとんどが命を落としている。決して遠い存在の病気なんかじゃない。残念極まりない。

 マイケルと名の付く素晴らしい才能を持った有名人は世界に数多くいるが、「Michael」と聞いて僕が思い浮かべる偉人は、まずはなんといってもマイケルブレッカーだ。


先生如何でしょう?
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by tosamal | 2007-01-15 19:29 | 音を楽しむ
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by tosamal
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