朝青龍なんて大嫌い。土俵の上でも下でもやりたい放題。高知に縁があろうが、
嫌いなものは嫌いです。
でもその強さは、悔しいけれど認めざるを得ません。決して恵まれているとは言えない
体格で巨漢力士を投げ飛ばす。凄い。どんな状況に陥っても決して勝負を棄てない
気迫に脱帽します。
彼の強さは、怪力・天性の運動神経とセンス、そして無神経さにある気がします。
彼にプレッシャーという言葉はまったくの無縁。そういうものをまったく感じていない
としか思えません。
それはきっと、「どんなときも自分を100パーセント信じていられる」からではないので
しょうか。
14日目、琴欧州・稀勢の里戦。前日の横綱戦で土を付けられたとはいえ、勝てば
優勝がほぼ手中にできるといって良い一番。相手は優勝戦線に残っているとはいえ
上位陣とはほとんど当たっていない若手。いつものように相撲を取っていればまず
間違いなく勝てたでしょう。当日ラジオの解説であった北の富士氏の
「このまま両者とも二番勝ち、一差で琴欧州の優勝、としか考えられない」
という言葉は僕の希望的観測を抜きにしても氏の言葉どおりになるだろうと思って
いました。
しかし、いざ立ち合ってみれば、勝ちに焦って引いたところを押し込まれるという
あまりに消極的で酷い負け方。並の力士ならこんなものかもしれませんが、
やはり横綱にならんとする者であればここを乗り越えなければなりません。
人間、絶対に失敗が許されないという状況に立たされれば「もしミスすれば・・・」
という考えが真っ先に立ち、実力の数割しか出せないもの。けれども頂点に立つ
人はそういった怖さを持つ己に打ち勝つからこそ、その姿を見る我々は感動します。
横綱は怖さを怖さと思わず「俺なら絶対にできる、いや他には有り得ない」という、
我々凡人には過剰とも思える信念のみを持っているからここまで勝ち続けられて
いるのでしょう。
なぜ僕はそう思うのか。天才・貴乃花との2度の対戦は全敗。当時、実力の差は
我々の目にも明らかだったけれども、彼の信念は揺るがなかった。敗戦の屈辱を
自信喪失ではなく更なる発奮材料にしました。でなければ相撲に迷いが生じて
一時調子を落としていたはず。
負けん気の強さは安馬や白鵬など、他のモンゴル出身力士にも共通して
いますが、横綱のそれは群を抜いています。
琴欧州もこれでプレッシャーと、それに負けて弱気になるというふたつの怖さ
を知ったこと、そして二場所連続準優勝という自信と悔しさを胸に刻み込んで
もっともっと強くなってくれることでしょう!しかし日本人力士、とりわけ大関陣の
ふがいなさ。魁皇は論外。千代大海も相変わらず一つ覚えの相撲で強い
相手と当たった途端に意気消沈。そりゃひかるちゃんも去るわ。栃東も取り
こぼしが多過ぎる。三大関で唯一期待できる力士だけに、今日の結びくらい
意地を見せて欲しかった。
いつまでも「貴乃花が現役でいてくれていたら・・・」とは思っていられません。
琴欧州を筆頭に稀勢の里、白鵬の若手三力士が安定した相撲を取ってくれれば
横綱の牙城を切り崩す日も近いのではないのでしょうか。来場所もドキドキ
させてくれることを祈ります!ケガだけには気を付けて頑張れっっ
先生如何でしょう?